姫ちゃんのリボンシナリオ研究 │ 姫ちゃんの生年月日に関する考察
姫ちゃんの生年月日に関する考察
姫ちゃんの人
Consideration of the date of Himechan’s birth
Himechannohito
要旨 姫ちゃんの生年月日は、既知とされているようである。さらに、コミックとアニメとでは、生年月日が異なると考えられている。しかしながら、その根拠や特定に至る考え方は、あまり知られておらず、明確ではない。そこで、本論文において、コミックやアニメの内容を分析した結果から、コミック版及びアニメ版それぞれの姫ちゃんの生年月日の特定を試み、これに至る考え方を論じ、各版の姫ちゃんの生年月日を確定させたと結論づけるに至る根拠を得た。
1 はじめに
コミック、アニメの作品の一つである「姫ちゃんのリボン(水沢めぐみ原作)」の主人公である野々原姫子(以下、姫ちゃん)の生年月日や実在した場合の年齢は、既に知られているようである。また、コミックとアニメでは、生年月日が異なるとされている。しかしながら、その根拠や特定に至る考え方が、一般に知られている様子が見受けられず、明確ではない。そのため、姫ちゃんの生年月日が確定しているとまでは言い切れない。
そこで、コミックやアニメの内容から得られる情報の分析により、姫ちゃんの生年月日を求め、これを検討、考察し、コミック版姫ちゃん及びアニメ版姫ちゃん、それぞれの生年月日を確定させることを試みた。
2 姫ちゃんの生年月日を確定させるための前提条件
姫ちゃんの生年月日を確定させるために、いくつかの前提条件を了解事項として定める必要がある。ストーリーと矛盾しない範囲で、次のように、これを定める。
- 野々原姫子は日本国籍を有する日本人であり、日本国内に在住しているものとする。
- コミック及びアニメのストーリーの中においても、日本の法律、習慣及び社会制度等は、そのまま適用され、かつこれが永続するものとする。また、1997(平成9)年4月から本論文受付日までの消費税率は5%である。
- 時間の流れは、ストーリーの進展に合致するものとする。常に因果律は成立する。
- コミック第1巻及びアニメ第1話で、最初に姫ちゃんが登場したときの姫ちゃんの学年は、中学1年生である。詳細については、付.1、2を参照。
なお、この条件を定めない場合、どのような考えでも無制限に成り立つ可能性が生じ、事実上議論が成り立たなくなる。
3 コミック版姫ちゃんの生年月日の確定とその検証(1)
3.1 コミック版姫ちゃんの生年月日の確定
姫ちゃんのリボンコミック4巻P.100のカレンダーのかかれたカットの7月30日(火)のところに「たんじょうび14さい」と書き込みがあり、さらに次のカットには「今日はあたし(姫ちゃん自身)の誕生日なのに~っ」とある。また、直接カレンダーへの書き込みを行っているカットはないもののP.73でサインペンを持った姫ちゃんが、今まさに「たんじょうび14さい」とカレンダーへ書き込もうとしている姿がある。そしてその後「あたしもついに14歳なんだよ」とポコ太に話しかけている。
よって、コミック版姫ちゃんの誕生日は7月30日であることがわかる。
次に、コミック版姫ちゃんが14歳になった年については、コミック1巻P.171に1990年度の風立第一中学校の教員・生徒名簿のかかれたカットがある。この名簿を使って大地は姫ちゃんの家に電話をしており、コミック版姫ちゃんの家の電話番号等はこの名簿に掲載されていることになる。コミック版姫ちゃんは、コミック3巻P.90の時点で、中学2年生に進級するため、コミック1~3巻P.89までのお話は、すべてコミック版姫ちゃんが中学1年生のときのお話ということになる。よって、1990年度はコミック版姫ちゃんが中学1年生のときの年度ということになる。
このためコミック版姫ちゃんの14歳(中学2年のとき)の誕生日は1991(平成3)年7月30日(火)となる。
よって、コミック版姫ちゃんの生年月日は1977(昭和52)年7月30日(土)となる。
これらの関係を図1に示す。
誕生日、年齢及び学年は、コミック版姫ちゃんのものを示す。 |
1巻 3巻 4巻 10巻
P.171 P.90 P.100 P.70 1990年 1991年 1991年 1992年 風立第一中学 4月 7/30 7/30 13歳 13歳 14歳 15歳 |
図1 コミック版姫ちゃんのストーリーの展開と誕生日の時間的位置の関係 |
3.2 コミック版姫ちゃんが14歳になった年に関するカレンダーの曜日及び消費税率等からの検証
コミック版姫ちゃんが14歳になった年は、コミック7巻P.50で『眠りの森の恋ぐすり』で眠っているピンクをおもちゃ屋から買い戻そうとしたとき、代金の5000円と消費税150円を払おうとしたが、この時点での消費税率は明らかに3%で計算されているため、消費税率が3%であった期間内の出来事であることがわかる。
また、コミック2巻P.116に支倉先輩ノートの内容のかかれたカットがあり、その日付は4月27日(金)である。支倉先輩ノートの4月27日分には、「・・・センパイとお話しちゃった!!・・・今日 部室に行ったら センパイ1人だったの・・・」とあるが、これは2人が同じ学校に通っていなければ、きわめて起こりにくい内容である。コミック版姫ちゃんが支倉先輩のことを知ったのは、1巻P.17から(小学)6年生の時点である。それ以降で2人が同じ学校に通っているのは、コミック版姫ちゃんが中学1年生で支倉先輩が中学3年生(詳細については、付.3を参照)のときに限定される。支倉先輩ノートの4月27日分は、コミック2巻P.116よりも前の時点で書かれたものであることが明らかであり、かつコミック版姫ちゃんが中学2年生に進級するのはコミック3巻P.90の時点であるため、支倉先輩ノートの4月27日分はコミック版姫ちゃんが中学1年生のときでなければ書けない内容のものであることがわかる。よって、コミック版姫ちゃんの14歳(中学2年のとき)の誕生日の年の前年の4月27日は、金曜日ということになる。
すなわち、コミック版姫ちゃんが14歳になった年は、消費税率が3%である期間内で7月30日が火曜日であり、かつその前年の4月27日が金曜日であった年(以下、コミック版姫ちゃんの14才の誕生日の年を曜日から定める条件)に限定される。
消費税率が3%であった期間は1989(平成元)年4月~1997(平成9)年3月まで間であり、この中で7月30日が火曜日であった年は、1991(平成3)年と1996(平成8)年である。次に各年の前年の4月27日の曜日は、1990(平成2)年は金曜日、1995(平成7)年は木曜日である。
よって、コミック版姫ちゃんの14歳の誕生日として成り立つ日は、1991(平成3)年7月30日(火)となる。ただし、将来、消費税率が再び3%に改正された場合には、「コミック版姫ちゃんの14歳の誕生日の年を曜日から定める条件」が成立する年が、これ以外にも出現する可能性が伴う。これらの関係を図2に示す。
3.2の結論は3.1の結論を内包しており、3.2の結論からも3.1の結論が裏付けられたと言える。
なお、ピンクの買い戻しを試みたときは、クリスマスの少し前(12月)であるため、コミック版姫ちゃんの誕生日(7月)の時点で消費税が導入(消費税の導入は1989(平成元)年4月)されていなかったり、またその率が異なる(消費税率の改正は、1997(平成9)年4月)ことはあり得ない。
図中89年、90年等とは西暦を表す。 |
平成元年4月1日←────消費税率が3%であった期間────→平成9年3月31日
平成元年 2年 3年 4年 5年 6年 7年 8年 ┼────┼────┼────┼────┼────┼────┼────┼→時間 89年 90年 91年 92年 93年 94年 95年 96年 7/30 7/30 7/30 7/30 7/30 7/30 7/30 7/30 日 月 火 木 金 土 日 火 ↓その前年↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 88年 89年 90年 91年 92年 93年 94年 95年 4/27 4/27 4/27 4/27 4/27 4/27 4/27 4/27 水 木 金 日 月 火 水 木 **********↑************************* ---------条件成立----------------------- |
図2 コミック版姫ちゃんの14才の誕生日の年を曜日から定める条件が成立する年 |
3.3 コミックの他の内容精査による分析
コミック版姫ちゃんの誕生日を求める他の例として、コミック10巻P.11で、姫ちゃんは、くも助を使って、14年前の7月30日の風立総合病院へタイムトラベルするが、そのタイムトラベルした先の12時にコミック版姫ちゃんが出生(10巻P.17)している。この事実からもコミック版姫ちゃんの誕生日が7月30日であることは、明らかである。
また、コミック版姫ちゃんが、14歳になったのは、4巻P.100の時点の日(4巻P.87~5巻P.24までが、この日のお話と思われる。)である。15歳になるのは、10巻P.71の時点の日(10巻P.60~83までが、この日のお話と思われる。)である。すなわち、4巻P.87~10巻P.59の間が、コミック版姫ちゃんが14歳であった期間のお話であったことになる。よって、10巻P.11の時点での年齢は14歳であるため、14年前の7月30日にタイムトラベルするということは、コミック版姫ちゃんの生まれた日に行くということを意味すると考察できる。
次に、コミック版姫ちゃんが14歳になった年を求める他の例して、1巻P.111の合唱で歌われている曲は、平成2年度のNHK全国学校音楽コンクール中学校の部の課題曲2)である。この時点での姫ちゃんの学年は、明らかに中学1年であり、1巻P.111の時点が1990(平成2)年であったと推察できる。姫ちゃんの14歳の誕生日の年は、その次の年度の7月30日であるため、1991年であると考えられる。なお、この合唱の曲名は、1巻P.123に示されたとおり、「朝のバス」である。
よって、コミック版姫ちゃんは、1991年に14歳になったことになるので、1977年生まれであることになる。
この2つの例により、コミック版姫ちゃんの生年月日は、1977年7月30日(土)であると考えることができる。
4 アニメ版姫ちゃんの生年月日の確定とその検証(3)
4.1 アニメ版姫ちゃんの生年月日の確定
姫ちゃんのリボン、アニメ#17「エッ!変身がもどらない」Aパートにカレンダーの映ったシーンがあり?月31日(日)の部分に「たんじょうび13さい」と書き込みがある。しかしながら、月の部分が映っておらず、何月なのかが不明である。そこで、アニメのストーリーの前後関係をみると、#13「SMAPがやって来た」にクリスマス(12月25日)のお話が、#19「チョコレートがいっぱい」にバレンタインデー(2月14日)のお話がある。また、#16「ひかるは何でもお見通し」Aパートには、姫ちゃんのクラスの教室の黒板に1月23日(土)と書かれているシーンが存在する。この関係を図3に示す。図中からも明らかなように、
1月23日よりも後で、かつ2月14日よりも前の日付で、31日のある月は、1月のみである。不明である月は、1月となる。
よって、アニメ版姫ちゃんの誕生日は、1月31日であることがわかる。
誕生日、年齢及び学年は、アニメ版姫ちゃんのものを示す。
A:Aパート |
#13 #16A #17 #19 ┼──────┼──────┼──────┼──―─→ 時間1992年 1993年 1993年 1993年 クリスマス 誕生日 バレンタインデー12/25 1/23 ?/31 2/14 12歳 12歳 13歳 13歳中1 中1 中1 中1 ?=1 |
図3 アニメ版姫ちゃんの誕生日の月のストーリーの前後関係からの導出 |
次に、アニメ版姫ちゃんが13歳になった年については、#6「バッタリ!大地と大地」Aパートに1992年度の風立第一中学校の教員・生徒名簿の映ったシーンがある。この名簿を使って大地は姫ちゃんの家に電話をしており、アニメ版姫ちゃんの電話番号等はこの名簿に掲載されていることになる。アニメ版姫ちゃんは、#26「気になる彼女は転校生」Aパートに「あたしは今日から中学2年生」(姫子)というセリフがあり、#26の時点で中学2年生に進級するので、#1~25のお話は、すべてアニメ版姫ちゃんが中学1年生のときのお話になる。よって、#6「バッタリ!大地と大地」の時点でのアニメ版姫ちゃんの学年は、中学1年生であり、かつ#17「エッ!変身がもどらない」の時点でも中学1年生のままであることになる。このため、アニメ版姫ちゃんは、1992年度の1月31日に13歳になったことになる。従って、アニメ版姫ちゃんの13歳(中学1年のとき)の誕生日は、1993(平成5)年1月31日(日)となる。
よって、アニメ版姫ちゃんの生年月日は、1980年1月31日(木)となる。
これらの関係を図4に示す。
誕生日、年齢及び学年は、アニメ版姫ちゃんのものを示す。 A:Aパート |
#6A #17 #26A ┼────―──┼──―────┼─────→ 時間 1992年 1993年 1993年1992年度 1992年度 1993年度 風立第一中学 1/31 4月 校の教員・生 誕生日 新学期徒名簿 12歳 13歳 13歳 中1 中1 中2 |
図4 アニメ版姫ちゃんのストーリーの展開と誕生日の時間的位置の関係 |
4.2 アニメ版姫ちゃんが13歳になった年に関するカレンダーの曜日及び消費税率等からの検証
アニメ版姫ちゃんが13歳になった年については、#27「ポコ太!愛のために走れ」Aパートで『眠りの森の恋ぐすり』で眠っているピンクをおもちゃ屋から買い戻そうとしたときに、代金の5000円と消費税を払おうとしたが、このときの消費税分として100円硬貨を2枚渡そうとした。消費税率は、その期間により3%か5%のどちらかであるため、その金額から3%の150円が消費税分であったと考えられる。アニメ版姫ちゃんは、消費税率が3%であった期間に13歳になったことになる。
#9「ピンチ!記憶が消される」Bパートに支倉先輩ノートの内容が映ったシーンがあり、その日付は9月30日(水又は木)と読みとれるが、曜日についてはお守りのひもに隠れている部分があり、水曜日なのか木曜日なのかが判別できない。支倉先輩ノートの9月30日分の内容は、センパイがかぜで休んでしまい心配という趣旨のことが書かれており、この時点で2人が同じ学校に通っていなければ、容易に知り得ない内容である。アニメ版姫ちゃんと支倉先輩が同じ学校に通っていたのは、アニメ版姫ちゃんが中学1年生で支倉先輩が中学3年生(詳細については、付.4を参照)であったときに限られるため、支倉先輩ノートの9月30日分は、アニメ版姫ちゃんが中学1年生のときでなければ書けない内容のものである。よって、アニメ版姫ちゃんの13歳(中学1年のとき)の誕生日の年の前年(ただし、年度は同じ)である9月30日は水又は木曜日ということになる。
すなわち、アニメ版姫ちゃんが13歳になった年は、消費税率が3%である期間内で1月31日が日曜日であり、かつその前年の9月30日が水又は木曜日であった年(以下、アニメ版姫ちゃんの13歳の誕生日の年を曜日から定める条件)に限定される。この条件を満たすのは、1993(平成5)年1月31日(日)のみである。なお、1992(平成4)年9月30日は水曜日である。
よって、アニメ版姫ちゃんの13歳の誕生日として成り立つ日は、1993(平成5)年1月31日(日)となる。ただし、将来、消費税率が再び3%に改正された場合には、「アニメ版姫ちゃんの13歳の誕生日の年を曜日から定める条件」が成立する年が、これ以外にも出現する可能性が伴う。これらの関係を図5に示す。
4.2の結論は4.1の結論を内包しており、4.2の結論からも4.1の結論が裏付けられたと言える。
図中90年、91年等とは西暦を表す。 |
平成元年4月1日←────消費税率が3%であった期間────→平成9年3月31日
平成2年 3年 4年 5年 6年 7年 8年 9年 ┼────┼────┼────┼────┼────┼────┼────┼→時間 90年 91年 92年 93年 94年 95年 96年 97年 1/30 1/30 1/30 1/30 1/30 1/30 1/30 1/30 水 木 金 日 月 火 水 金 ↓その前年↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 89年 90年 91年 92年 93年 94年 95年 96年 9/30 9/30 9/30 9/30 9/30 9/30 9/30 9/30 土 日 月 水 木 金 土 月 ***************↑******************** --------------条件成立------------------ |
図5 アニメ版姫ちゃんの13才の誕生日の年を曜日から定める条件が成立する年 |
4.3 アニメの他の内容精査による分析
アニメ版姫ちゃんが13歳になった年を求める他の例して、#58「私を未来に連れてって」Bパートにおいて、アニメ版姫ちゃんが3年後の風立へタイムトラベルしたとき、姫ちゃんの部屋に「いよいよきょう!1996 11/12 ・・・」と書かれたメモが貼られていた。#58「私を未来に連れてって」の時点での日にち(未来へ行っているときを除く)は、1996年の3年前となるため、1993年11月12日となる。#17「エッ!変身がもどらない」の時点で姫ちゃんは13歳になったが、#17「エッ!変身がもどらない」と#58「私を未来に連れてって」は、同じ年のお話なので、アニメ版姫ちゃんの13歳の誕生日は1993(平成5)年であることがこの例からもわかる。
5 まとめ
コミック版姫ちゃん及びアニメ版姫ちゃんの生年月日を検討したところ、次のような結論が得られた。
(1) コミック版姫ちゃんの生年月日は、1977(昭和52)年7月30日(土)。
実在した場合の年齢は、23歳(2001(平成13)年2月25日現在)となる。
(2) アニメ版姫ちゃんの生年月日は、1980(昭和55)年1月31日(木)。
実在した場合の年齢は、21歳(2001(平成13)年2月25日現在)となる。
また、コミック版姫ちゃん及びアニメ版姫ちゃんの生年月日は、一意に定まり、各姫ちゃんの生年月日は、異なるということが明らかとなった。
以上から、コミック版姫ちゃん及びアニメ版姫ちゃんの生年月日は、これらを確定させるのに十分な根拠を得たと考えられる。
付録
付.1 コミック第1巻の時点での姫ちゃんの学年等について
コミック第1巻の時点での姫ちゃんの学年は、第1巻P.25の隠れ家の敷地から出てきたときの大地との会話から、中学1年生との結論になる。当該部分の会話は、「でも、小林くんだって中に入ってたじゃない」(姫子)、「どうしておれの名前知ってんだ」(大地)、「だってあたし同じ中学だもん1・Bでとなりだし」(姫子)である。姫ちゃん自身が、中学生で学年とクラスは1年B組であり、かつ大地と同じ学校に通っていることを説明する内容になっている。
付.2 アニメ第1話の時点での姫ちゃんの学年等について
アニメ第1話の時点での姫ちゃんの学年は、#1「魔法使いになっちゃった」Bパート中の隠れ家の敷地から出てきたときの大地との会話から、中学1年生との結論になる。当該部分のセリフは、「でも、小林君だって中に入ってたじゃない。」(姫子)、「どうして俺の名前知ってんだ。」(大地)、「だってあたし同じ中学だもん1・Bで隣だし。」(姫子)である。姫ちゃん自身が、中学生で学年とクラスは1年B組であり、かつ大地と同じ学校に通っていることを説明する内容になっている。
付.3 コミック版姫ちゃんが中学1年生の時点での支倉先輩の学年等について
コミック版姫ちゃんが中学1年生のときの支倉先輩の学年は、中学3年生であり、二人が同じ中学校に通っていることが、第1巻その他のセリフ等からわかる。
当該部分のセリフは、第1巻P.12に「支倉って?」(いっちゃん)、「先輩よ 姫ちゃんの演劇部の」(愛美)とあり、姫ちゃんと支倉先輩は、同じ演劇部所属であり、同じ学校に通っていることをうかがわせる内容となっている。また、P.13に「たいへんですねー受験生は」(姫子)とある。さらに、第1巻P.90には「これが中学最後の公演になるし」(支倉)とあり、中学生でかつ受験生となるのは、3年生のみである。
第1巻P.91等においては、姫ちゃんと支倉先輩が同じ学校の中にいるカットがある。
また、第1巻P.103において、姫ちゃんと支倉先輩が校長先生に演劇部の公演を文化祭の1週間後に延期してくれたお礼を言っている姿がある。このため、姫ちゃんと支倉先輩は、同じ学校に通っているということが、これらの状況から判断できる。第3巻P.86~87で支倉先輩の卒業式が行われており、1巻から3巻P.87までの支倉先輩の学年は、中学3年生となる。
付.4 アニメ版姫ちゃんが中学1年生の時点での支倉先輩の学年等について
アニメ版姫ちゃんが中学1年生のときの支倉先輩の学年は、中学3年生であり、二人が同じ中学校に通っていることが、#1「魔法使いになっちゃった」Aパートその他のセリフ等からわかる。
当該部分のセリフは、放課後、姫ちゃん、いっちゃん、愛美が昇降口から出たところのシーンで、「支倉って?。」(いっちゃん)、「先輩よ。姫ちゃんの演劇部の。」(愛美)とあり、姫ちゃんと支倉先輩は、同じ演劇部所属であり、同じ学校に通っていることをうかがわせる内容となっている。ここで突然支倉先輩が現れて、「先輩。帰る道々も受験勉強ですか。」(姫子)、「ああ、これ。単語って歩きながらだと覚えやすいんだよね。」(支倉)、「ヘー。大変ですね。受験生は。」(姫子)とある。付.2の結論から#1の時点での姫ちゃんの学年は中学1年であるため、先輩に該当する学年は、2、3年生であり、さらに受験生になると3年生に限られる。
#4「姫ちゃん校長になる!」Aパートには、大地自身が支倉先輩と学校が同じであることを認めるセリフが存在している。当該部分のセリフは、「あいつ(支倉先輩のこと)は、昨日の変な男。」(大地)、「じゃあ、放課後にね。」(支倉先輩)、「あっ。そうかどっかで見たことある気がしてたけど、あいつあのときの。同じ学校だったんだ。」(大地)とある。ここで、大地と支倉先輩は、同じ学校であるが明確になる。さらに付.2から、姫ちゃんと大地が同じ学校であることが明らかであるため、姫ちゃんと支倉先輩は同じ学校であることになる。また、#4「姫ちゃん校長になる!」Bパートには、姫ちゃん、支倉先輩及びその他演劇部員が校長先生に演劇部の公演を文化祭の1週間後に延期してくれたお礼を言っているシーンがある。この状況からも、姫ちゃんと支倉先輩が同じ学校に通っていることが判断できる。
また、#23「初恋にさようなら」Bパートにおいて支倉先輩たちの卒業式が行われており、#1~23までの支倉先輩の学年は、中学3年生となる。なお、#23「初恋にさようなら」Aパートの姫ちゃんの支倉先輩へのセリフに「あんな超進学校入ったって勉強ばっかでつまんないですよ先輩。」(姫子)とあり、支倉先輩の受験が高校受験であったことは明らかである。超進学校とは、大学への進学率の著しく高い高等学校を意味する。
付.5 「朝のバス」合唱の行われる時期の相違に関する論点
NHK全国学校音楽コンクール(以下、コンクール)の行われている季節は、夏ごろである。ところがコミックの中で「朝のバス」が合唱されている(コミック1巻P.111)のは、文化祭の1週間後で、さらにコミック1巻P.94からは、制服が夏服から冬服になるので、季節は秋ということになる。文化祭の行われる季節は、秋ごろが一般的である。既にこの時点では、コンクールは終了していることになる。すなわち、この合唱が歌われているにしては、時期遅れであるように思われる。どのような理由から、この時期に、この曲が歌われていたのか、コミック中には説明等は一切なく、不明である。
これについては、想像の域を出ないものの、平成2年度の春から夏にかけての風立第一中学校合唱部においても、コンクール出場をめざして、練習が続けられたはずである。秋は一般的に3年生が部活動を引退する時期にあたる。3年生が引退するにあたり、コンクール出場をめざして、部員みんなで練習した曲をもう一度歌って、3年生をお送りしようとしているところであったと考えるのが、比較的自然ではないかと思われる。
文献等
1) 水沢めぐみ、“りぼんマスコットコミックス 姫ちゃんのリボン1~10巻”、集英社、(1991.4~1994.12).
2) (財)NHKサービスセンター、“昭和63年度~平成8年度 NHK全国学校音楽コンクール課題曲集”、fontec、15(1998.3).記録媒体:CD
3) 水沢めぐみ/集英社・テレビ東京・NAS、“姫ちゃんのリボンLD-HALF BOX1、2”、ビクターエンタテインメント、(1994.12~1995.1).記録媒体:LD
謝辞
本論文の作成にあたり、風立第一中学校の教員・生徒名簿等についてご助言いただきましたひめつう氏、検証していただきましたパイン氏、その他熱心にご議論、ご討議いただきました関係各位に感謝いたします。
この論文に関する議論等は、インターネット上のホームページである「姫ちゃんROOM」及び「虹の広場」の各掲示板を通して行われた。
(平成13年2月25日受付) | |
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